主な種類と特徴

日本でいちごが本格的に栽培されたのは、明治32年(1899年)に‘福羽’の栽培に成功してからです。‘福羽’は大正時代には東京周辺に広まり、昭和初期に静岡県久能山の石垣栽培に導入され有名になりました。‘福羽’は日本のいちごの基礎を作った名品種で、これが親となって次々と新品種が生まれました。1960年代までは春から初夏が旬でしたが、食生活の変化で需要が増加し、ハウス栽培の普及や品種改良により変化し、クリスマス需要にも合わせています。出荷量が極端に少ない夏場には、業務用として‘米国産いちご’等が輸入されています。また、ロールケーキ等“スイーツ”の高級志向の高まりから、国産いちごの業務需要も増加しています。関東、東海、九州地方を中心に栽培されていますが、栃木県(とちおとめ)と福岡県(あまおう)が全国の約3割を生産しています。

*いちごは果実的野菜です。

*とちおとめ  平成8年(1996年)に栃木県農業試験場で開発された品種です。‘とよのか’、‘女峰’の2大ブランドを交配したものに、さらに‘栃の峰’を交配して作られました。果実は大粒の円錐形で、甘味が強くて酸味は少なく、固くて日持ちがよいのが特徴です。日本一の生産量を誇り、東日本のシェア№1の品種です。
*さちのか 平成8年(1996年)に農林水産野菜・茶業試験場久留米支場で開発された品種です。‘とよのか’と‘アイベリー’を交配して作られました。果実は円錐形で、アントシアニンが多いため、ワインレッドにも近い濃い赤色をしています。甘味が強くて酸味が少ない上、固くて日持ちが良い品種ですが、若干香りは薄いという特徴があります。
*あまおう 平成13年(2001年)に福岡県農業総合試験場で開発された品種です。果実は大粒の円錐形で、重さが1粒当たり40グラムにもなります。糖度が高く、適度な酸味もあり果実の内部まで赤味を帯びています。名前の由来は「あかい、まるい、おおきい、うまい」の頭文字をとって付けられました。かつての大人気ブランド‘とよのか’の後継品種として、福岡県のみで栽培されています。
*さがほのか 平成13年(2001年)に佐賀県農業試験研究センターで開発された品種です。‘大錦’と‘とよのか’を交配して作られました。果実は円錐形で粒のそろいが良く、糖度が高くて酸味が少ない上、甘味が強いのが特徴です。かつての代表種‘とよのか’に代わり、現在では佐賀県の95%以上の作付面積を占め、西日本を中心に広く作られています。
*ひのしずく  平成15年(2003年)に熊本県農業試験研究センターで開発された品種です。‘さちのか’と‘栃の峰’を交配したものに、さらに‘久留米54号’と‘栃の峰’を交配したものを交配して作られました。果実は円錐形で光沢があり、糖度が高く酸味はやや控えめです。食味が良く、香りに優れています。熊本の綺麗な水とみずみずしいいちごのイメージから命名されました。
*もういっこ 平成17年(2005年)に宮城県農業・園芸総合研究所で開発された病気に強い品種です。病害抵抗性を持つ宮城県オリジナル母体と‘さちのか’を交配して作られました。果実は大粒の円錐形で、固くて日持ちがよく、さわやかな甘さが特徴です。その魅力で「もういっこ食べたくなる」ことから命名されました。
*紅ほっぺ  平成14年(2002年)に静岡県農業試験場で開発された品種です。‘章姫’と‘さちのか’を交配して作られました。果実は大粒で、表面が色鮮やかなだけでなく内部まで赤味を帯びており、ジューシーでコクのある味が特徴です。
*米国産いちご 国内産の少ない夏期に、カリフォルニア州より空輸されます。ケーキ等業務用の原料として利用されています。国産品種と比べると酸味が強く甘味が少ないものの、内部まで濃い赤色をしています。

栄養素・機能性成分

 いちごは、野菜・果実の中でも、ビタミンCが豊富に含まれています。10数個食べるだけで、1日に必要なビタミンCの量をとることができます。ビタミンCには抗酸化作用があることから、動脈硬化や脳卒中を予防する働きがあります。ストレスや喫煙により失われたビタミンCの補給に最適です。そのほか、葉酸やカリウムも含まれています。葉酸は、ビタミンB群の一種で、赤血球を造成するために必要な物質です。カリウムは、余分な塩分を体外に排出する効果もあります。スイーツの食材として食味を楽しむだけではなく、健康維持のためにも重要な働きをする野菜です。

選び方

 果肉の堅さは品種によって違うので用途に応じて選びましょう。粒がしっかりと固くてハリがあり、色鮮やかで赤色が濃いものを選びましょう。大きいものが生育の良い良品です。ヘタが青々としてみずみずしいものは新鮮な証拠です。収穫後に追熟しないため、それ以上赤くなることも甘くなることもありません。一般的には、ヘタに近い部分まで濃い赤色を帯びているものが甘さの目安です。パックの底をみて、傷みがあるものや果汁がしみ出ているものは、古くなっているので避けましょう。

保存方法

 いちごを新鮮でおいしく食べられるのは、2~3日です。水分がつくと傷みやすくなるため、洗わずラップに包むか、冷蔵庫で保存します。食べる直前に洗いましょう。また、長く保存したいときは、冷凍します。冷凍する際は、バットで一つずつ凍らすのがポイントです。完全に凍ったらポリ袋に入れ保存すると、甘酸っぱくみずみずしい風味を長期間楽しめます。冷凍いちごは、牛乳・砂糖を加えてミキサーにかけると、「いちごスムージー」に早変わりします。

*このコーナーの文章は、独立行政法人/農畜産業振興機構 「野菜ブック 食育のために」. から引用させていただいています。